東京, 2024年11月15日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズ(本社:米国ニューヨーク、日本:東京都千代田区、代表:植地卓郎)は、「テクノロジー業界の成長とパフォーマンス調査2024年版(原題)Tech Sector Growth and Performance 2024」(以下、本調査)を発表しました。
今年は北米およびEMEAのテクノロジー業界の経営幹部約350名を対象に調査を実施しました。何を犠牲にしても目先の利益を追求するというこれまで業界で顕著であった考え方は影を潜め、2024年の調査では70%もの経営幹部が向こう12ヶ月を見据えて持続可能な収益を創出していくことをより重視していることが明らかとなりました。本調査から明らかになった主なポイントは以下となります。
テクノロジー業界の経営幹部の75%はAIが将来の成長の牽引役になるとみており、90%が2025年もAI向けR&Dと設備投資が増えると予想しています。
テクノロジー業界の成長率は過去3年連続して減速基調を辿っていますが、2024年も5%と減速しています。しかし、62%の経営幹部が目下、需要が再加速していると実感していることから、2025年には上向く可能性があります。
AI関連ビジネスの成功を判断する指標としては「収益成長」が最も重要とされていますが、「プロセスの効率化」、「コスト削減」、「従業員の生産性」も上位にランクされています。
テクノロジー企業の3分の1が2024年の売上および利益目標を上方修正していますが、経営幹部の約25%が2025年には人員削減が必要になると予想しています。
経営幹部の大多数は売上伸び率よりも利益率を優先、あるいは同等に重要と考えています。
テクノロジー企業のR&Dや設備投資に充当する資金のうちAIの占める割合がかなり大きくなっており、本調査からは、業界を挙げてAIが将来の成長の牽引役になるとみていることが明らかになりました。しかし、それら企業の経営幹部はそうした投資の成果はすぐに顕在化するものではないと考えており、このことは短期リターンを追求する投資家にとっては懸念材料になると言えます。
テクノロジー業界全体の成長率の中央値は、2021年が20%、2022年が16%、2023年が7%と3年連続で鈍化、更に2024年も5%まで落ち込んでいることから、業界への圧力は無視できません。とりわけ、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)企業は最も大きな打撃を受けていることが明らかになっています。
今回の調査から得られた最大の発見は、AIに賭けるには相応の忍耐が必要で、優先順位を転換しなければならず、更に今後数年間で1兆ドル超もの設備投資を含む多額資金が必要であることを、経営幹部が認識しているということが明らかになったことでしょう。
アリックスパートナーズのTMTプラクティスのグローバルリーダーであるジャコモ・カントゥ(Giacomo Cantu)は次のようにコメントしています。「テクノロジー業界では長期的な収益確保を優先する傾向が強まりつつあります。AI導入を成功させるには新たなコスト構造、明確な目的設定、試行錯誤をいとわない姿勢が必要であるとの認識が広がったことで、業界の構造変化が起こっています。AIがゲームチェンジャーであることには議論の余地はありません。経営陣が直面している問題は、進捗をどのように測定するか、どの分野に注力するのか、また、移行に必要な資金をどのように調達するかという点にあります。ここで言えるのは、やみくもに成長を追い求める時代は終わったということです。」
AI投資から創出された実質的収益については、まだどの企業もほとんど明示できていないものの、経営幹部の76%は、AIが長期的成長の主な牽引役になるとみなしています。AI技術の活用方法に関しては、回答幹部の4分の1以上が「商業的なAIソリューションを既存製品に組み込む」ことが最優先と考えています。また、「ソフトウェア開発とエンジニアリングの生産性」、「AIを活用した顧客サービス」、「組織全体のワークフローの自動化」にAIを組み込むことを重要事項として挙げています。
とはいえ、AI利用について課題は山積みです。AIの利用や導入における不安や疑問の根幹は何かという質問に対しては、「データとプライバシーのセキュリティ」とする回答が最も多く、その他の懸念事項として、「AI向け投資と他の成長分野や研究開発向け投資とのバランスをとること」、「活用方法への準備とスケーラビリティ」、「データの準備、スケーラビリティ、アーキテクチャ」、「投資リターン」なども上位に挙がっています。
AIの有効性の測定も複雑な課題です。経営幹部がAIイニシアチブの成功を測る指標は、「収益の伸び」が最も高く、「プロセスや効率の改善」、「コスト削減」、「従業員の生産性」も上位にランクされています。
アリックスパートナーズのアメリカ・テクノロジー・プラクティス・リーダーであるジュゼッペ・ガスパロ(Giuseppe Gasparro)は次のようにコメントしています。「AIを導入すればすぐに収益が上がるというものではありません。技術の相対的な未熟さ、AI投資に対する投資リターン、データの堅牢性、セキュリティへの懸念など、対処しなければならないハードルが多く存在します。企業は次から次へと難しい決断を迫られるのです。」
パンデミック後に北米とEMEAで急増した従業員数は、AI開発資金の確保などの理由によりスリム化が行われた結果、減少傾向にあります。本調査によると、同地域のテクノロジー企業の64%が2023年に従業員を削減しています。経営幹部のうち北米企業では、25%が今後数年間で更なる人員削減を見込んでおり、37%が未だ見通せないとしています。EMEA企業では、28%が追加での人員削減の可能性を見込んでおり、20%が見通せないとしています。
テクノロジー業界では、収益を伴う成長を実現しなければならないというプレッシャーが高まっており、経営幹部の3分の1が2024年の売上成長および利益目標の両方を引き上げていることが明らかとなりました。なお、売上目標を達成するためには既存顧客の売上を拡大させるとともに、AI対応の製品や機能が売上拡大の推進力になると見込んでいます。利益実現には、AIを活用して社内プロセスを自動化することを第一に挙げ、次いで製品やサービス・ミックスを効率的に変化させることを挙げています。他に明らかになったポイントは以下のとおりです。
テクノロジー業界は2022年から2023年にかけて減速した後、ソフトウェアとSaaSおよびハードウェアとそのサービスの両面の需要が改善傾向にあり、景気循環的な需要圧力は緩和されつつあります。
25%弱の経営幹部が今後の成長にはマーケット・デザインと新ブランド獲得に注力するとしています。
経営幹部の54%が向こう12ヶ月でAI向け投資を10%以上増やすことを計画しています。
経営幹部の83%はAIが自社のビジネス・モデルのディスラプションになる可能性があることを認める一方、2024年は社内プロセスの自動化にAIを活用している企業はわずか22%に留まっています。
アリックスパートナーズのTMTプラクティスEMEAリーダーであるクラウス・ホエルブリング(Klaus Hoelbling)は次のようにコメントしています。「テクノロジー業界では本格的なディスラプションが起きていることで不確実性が高まっており、今後業界が発展していくスピードやその形を予測することが益々困難となっています。こうした状況下でテクノロジー企業がとるべき最善の策は、業務や製品の合理化、投資の最適化、自動化の推進などコスト削減につながる抜本的改革を断行することであるといえます。」
「テクノロジー業界の成長とパフォーマンス2024年版」の報告書全文(英語)はこちらをご覧ください。
【注】本プレスリリースは2024年9月4日に米国で発表された内容をもとに作成したものです。
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界で約30都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
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